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vantguarde

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7.8

iモードのJavaScriptは独自規格なのか

22:55

なにかを技術的な面で比較するのであれば、きちんと根拠を示してもらいたい。

こうした革命が、閉塞感の漂う日本の携帯電話で果たして起きるだろうか。
NTTドコモは、新しい端末で進んだJavaScript対応などを実現してくれたが、
これも所詮、日本独自規格だ。
今、世界の次の世代のモバイルインターネットはiPhoneにしても、Androidにしても、PalmもPreにしても
HTML5とWebKitという世界標準に移行しつつある。

それに迎合しない、素晴らしい技術を開発する、というのは間違っていない。
しかし、ただスペック的に素晴らしい技術をつくるだけでなく、
それを本当に人々が率先して使いたくなるレベルに仕上げようとする体制が整っていないなら、
あるいは、それを、またしても日本国内だけの閉じられたスタンダードにして、世界に普及させようという意思がないなら、
わざわざCP(コンテンツ・プロバイダー)の未来を閉ざすような規格を採用するのではなく、
世界のトレンドに目を向け、世界スタンダードを採用する方向で検討してほしいと思う。

nobilog2: 以前からあった機能を「特別」にするiPhoneマジック

「これも所詮、日本独自規格だ」って、何を調べて、どう考えてたどり着いたの?

ドコモのJavaScript対応

というわけで、ドコモのその「進んだJavaScript対応」というのを調べてみます。

iモードブラウザ2.0ではECMA-262に準拠したJavaScriptが使用できます。

iモードブラウザ2.0対応JavaScriptについて

ECMA-262ってのは、JavaScriptやAdobeのActionScriptのベースになっている規格です。Ecma Internationalっていう標準化団体がつくっています。Internationalと名前にある通り、「日本」「独自」な団体ではありません。

そんな規格に準拠していると言っているので、「独自」「規格」ということもないでしょう。

ドコモのDOM対応

さて、WebアプリケーションはJavaScriptだけでは作れません。HTMLやCSSも使いますし、なによりDOMという技術が不可欠です。

そんなDOMの対応についても、ドキュメントが公開されています。

iモードブラウザ2.0では、JavaScriptからDOM(Document Object Model)を利用できます。

iモードブラウザ2.0対応DOMについて

DOMというのは、W3Cという標準化団体が作っている仕様のことです。で、W3Cは「HTML5」っていう「世界標準」を作っている団体です。おなじく「日本」「独自」ではありませんし。

もっというと、HTML5はそのDOMの仕様の上に定義されています。これに準拠するので、「独自」「規格」というわけでもないでしょう。

標準に頼れないときもある

さて、標準標準と言いましたが、とくにこのDOM周り、標準規格だけではWebアプリケーションをつくれないというかなしい事実があります。標準化の前に独自規格がありすぎて、標準化できなかったDOMがいろいろあるのです。

ここら辺が、先のDOMのページに書いてある「DOM Level 0」というものです。名前はあくまで便宜的なものとしてとらえておいてください。

実は、こういう「標準ではない何か」を規格化しようという試みがあります。それが「HTML5」です。さっき「世界標準」という言葉を引用しましたが、「規格化しよという試み」段階ですので、まだ標準規格として確定したわけではありません。

「日本独自規格」という結論は正しいか

以上の情報をふまえるて、「日本独自規格」であるという結論は間違いなのではないか、と疑っています。

また、引用した部分の最後にある「世界のトレンドに目を向け、世界スタンダードを採用する方向で検討してほしいと思う」という部分。JavaScriptやDOMのページを見る限り「世界スタンダードを採用する方向で検討」しているのではないでしょうか。

検討どころか、採用しているのではないでしょうか。「ようやくかよ」とも言えるかもしれませんが、素敵じゃないですか。

ただ、ぼくは提供されているドキュメントを充分に読んで比較したわけではなく、また実機でテストしたわけでもないので、「間違いだ」と断定はできません。

中途半端で申し訳ないです。

あ、もしかしたら、上にある「ECMA-262に準拠」や「DOMを利用できます」というの、ドコモがマーケ的な側面でただ言ってみただけかもしれませんね。もしそうだったら、とても残念です。

私感

iモードXHTMLみたいなドコモの独自規格、ケータイWebとWebの非互換、閉じているという印象など、僕も残念に思っている事はいろいろあります*1

ただ、iモードやケータイWebが誕生したのは、今から10年前です。先ほどのDOM仕様で言うと、まだ最初のバージョンが公開されたばかりで、機能もあまりありませんでした。今のWebアプリケーションが実現できるレベルに達するのは、2002年から2003年くらいでしょうか*2。インフラ、技術、仕様、何もかもがiPhoneの登場した2007年と比べて未熟です。

そんな環境で、“Apple Reinvents the Phone with iPhone.” と、全く異なるエリアでかつ新規に展開されたのがiPhoneです。革命を起こしたかもしれませんが、それまでのレガシーなものに引っ張られないという点で、大いにアドバンテージがあるのではないでしょうか。

そういう背景を完全に切り捨てた上で、ただ端末に載っている機能を比べ、日本の閉塞感とやらを語る事に、どのくらい意味があるのか疑問に思いました。

お願いだよ

さて、ちょっと文体を変えて。

自分なりに考えて、「所詮」「日本」「独自」って判断したのならそれでいい。間違えてたとして、それを責める事はできない。

ただ、そこに至った道筋を少しでも良いから示してほしい。その判断の根拠が文中にはあらわれてないので、断言している理由を教えて欲しい。

それが「ジャーナリスト」って肩書きを持つ人に求められていることではないのかな。ましてや「ITジャーナリスト」ですし、技術に関して書くのが専門なのでしょう。そこはきちんとしてほしい。

もちろん、個人のWeblogだからそんな責任なんてないのかもしれない。ジャーナリストの倫理みたいなものを押しつけるつもりもあんまりない。

でも、もし思った事を書きたかっただけなら、もっともらしく技術用語を使って不当な比較なんてする必要は無いよね。そうじゃない?

てきとーに人をアジりたいからってためだけに技術が利用されるのは、本当に残念だ。

*1:これは僕がケータイWebについてほとんど知らないので、もしかしたら勘違いだらけかもしれないです

*2:DOM2やXMLHttpRequestの実装時期などをふまえると、それくらいかなと

nobihayanobihaya2009/07/09 01:51林です。

自分のブログにも書いたのですが、一応、こちらにも書いておきますね。

vantguarde さん

そうですね。確かにそこの部分は、私の書き方が悪かったですね。
私が問題にしているのは、JavaScript仕様単体とかの話しではありません。
そして業界標準、国際標準といったものではなく、むしろ、デファクト・スタンダード(実質標準)、
要するにWebKit搭載か否か、という部分です。

WebKitベースブラウザの独占が、果たして本当にいいことなのか、という議論はあるでしょう。
ただし、Acid3などのテストをパスしたり、他のWebブラウザと比べても業界標準への対応も進んでいるし、
素性の悪いWebエンジンではないと思います。

もはや、次代のスマートフォンでは、Nokiaもこれを採用し、Androidも、Palm Preも、という形で実質標準となっている感があります。
その点、日本の携帯のブラウザは、かなり、そこに近づいている印象はあっても、所詮はこれまでのiモードからの流れを汲みながら、プラスαでそこに近づけているだけで、まだまだ本物のパソコンクラスのブラウザには遠い印象を受けました。

私が日本独自規格といったのは、JavaScriptの仕様単体ではなく、そうしたWebブラウザ機能を包括しての話しです。

vantguardeさんは、先日、Google IOというイベントがあったのですが、その基調講演をご覧になったでしょうか。
Google AndroidもiPhoneもPalm Preも、皆、OSの上にHTML5対応のWebブラウザという共通のレイヤーを持って、
その上で、これまでのHTMLを上回るような新世代のWebアプリケーションが動いている様子が打ち出されました。

これまでのiモードのビジネスが、完全にフェードアウトしていくまでは、まだまだ時間がかかるし、
既存iモード上でのビジネス展開をするのは、まだまだありだと思います。
しかし、CPの人たちに、協力を呼びかけて、次代のスタンダードへの対応をお願いするのであれば、
それは日本の携帯でしか通用しない、アップルがbaby internetと呼ぶ、日本の携帯電話でしか通用しないWebブラウザに最適化するのではなく、iPhoneとAndroid、Palm Preといったものにも同様に最適化/対応できるスタンダードにしてほしい、というのが私の個人的な思いです。


ーー
あと、ITジャーナリストという肩書きを持つという部分ですが、ブログでは、そこの部分からは解放され、下調べもせず自分の考えをより自由に書かせてもらおうと思っています。

私はブログというのは、その後のコメント欄での議論まで含めて1つのエントリーだと思っています。
実際、そうやって、敷居をさげていかないと、自由闊達な議論なんかできなくなってしまうんじゃないか。

例えば会社の会議なんかでも、「それって根拠は?」「それちゃんと裏とってある?」といったことをいちいち聞かれるような会議では、おそらくそのうち、皆、萎縮して、誰も話しを切り出さなくなってしまいますよね。
 大手の出版社などを通して、出す記事や、テレビの報道となると、裏取りとか、そういったものも必須でしょう。

 しかし、私は他の媒体名の看板ではなく、自分の名前を看板に出しているブログやTwitterなどでは、無責任な、真っ赤な嘘(友達とのジョーク)も含め、一人間として、もっと楽しく自由に話しをさせていただいています。

 それが許せない、という人がいるのはわかっているつもりですが、そこは残念なことに、世の中の人間全員の合意を得ることができないわけで、仕方がない部分。
 そういう部分で、私が信頼に足る人間でない、と思われるのは個々人の自由です。
 実際、私は、他のブログ記事を読んでもらってもわかるように、結構、チャランポランでいいかげんなところもあるし。

 ただ、私があの記事で訴えたかったメインのポイントは、日本のメーカーは、iPhoneの登場を、もっと深刻に受け止めて、もうちょっとものづくりのしくみ(場合によっては業界の構造や社内組織なんかも)を見直す必要があるというところ。

 そして、今回、vantguardeさんが問題にされていた部分でいいたかったことは、もう少し海外のスタンダードやIT業界の最新トレンドにも目配せをして、その分野のエキスパートの意見を聞いてほしい、という部分です。

 WebKitとFireFox 3.5と、Operaが、皆、一斉にHTML5に対して意欲的な姿勢を見せてきたのは、決して偶然タイミングがあったんではなくって、そこにつながるディスカッションなどがあったんだと思います。
 もはや、携帯はWebブラウジングの道具でもある訳で、日本の携帯業界も、新しいスタンダードをつくるのであれば携帯業界のエキスパートだけでなく、そうした世の中的トレンドに精通している人も巻き込んでつくるベキだったんじゃないかと思います。

でも、そうはいっても、今の日本製携帯ではプロセッシングパワー的にも、メモリー的にも、iPhone/Androidレベルのブラウザ搭載は無理、というなら、それはそれで1回休み、という手もあると思うんです。
 今、日本の携帯電話業界は、あまりにも年に2〜3回の更新ペースに追われすぎていて、長期的にどういう戦略を通したらいいのか、ちゃんと考えていない気がしています。

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